クズなキミからの不適切な溺愛
「俺、光莉さんが好きですよ」

「え、どうしたの? 急に」

「なんか、海みてたら言いたくなりました」

「今だにわからないの……なんで私なのかなって」

吉良くんは少しだけ水平線を見つめてから唇を湿らせた。

「理由なんて必要ないでしょ。恋は気づけば堕ちてるものなんだし。光莉さんの今やってる広告のキャッチコピーもそうですよね」

「……確かにそうだね」


今となれば和馬のどこを好きになったのか、結婚を考えるほどに好きだったのか、自分でもわからない。

ただ、あの時は同期で居心地がよくてたわいない話で笑えたらそれだけで良かった。

「あの、誰のこと考えてます?」

「あー、ううん。もう私の中で完全に終わった恋だから」

「そっか。良かったです」


今は吉良くんのことがもっと知りたい。
そして私のことも知って欲しい。

もう私は恋をしている。
 

──恋に堕ちている。


こんな気持ちになるなんて、一ヶ月ほど前の自分では想像もできなかった。

私はハムサンドを食べ終わるとアイスティーで喉を潤した。

「……実はね、海に連れてきて貰ったのもう一つ理由があって、家族の思い出が詰まってるからなの」

「そうなんですね。羨ましいです、俺は……家族の思い出あんまないんで」

吉良くんの表情に、私はスマホの着信のことを思い出す。

(聞くなら……いましかないかも)

< 67 / 218 >

この作品をシェア

pagetop