クズなキミからの不適切な溺愛
「って、こんなこと言われたら困りますよね」

「ううん、吉良くんのこともご家族のことも知りたいなって。勿論、話すのが嫌じゃなければなんだけど……」

おずおず訪ねて隣を見れば吉良くんが水平線をじっと見つめていた。

「あ、やっぱり……」

「いや、聞いてください。うちは両親が離婚してて、父親って呼ばれてる人とうまくいってないんです」

吉良くんは小さく息を吐いてから俯く。

「離婚の理由は父の浮気です。だから、俺。恋愛に適当って言うか。どっかで自分はアイツみたいになるのかなって思うとちゃんと恋愛する気になれなくて」

私は彼が女の子と適当な関係しか築かないのではなくて、築けなかったのだと気づく。

「でも光莉さんは違うから。それだけは信じてください」

「……うん、わかった」

まだ彼のことは知らないことが多い。

でも彼が不誠実な人間でも嘘つきでもないことを私は知っている。今はただもっと彼のことが知りたい。例えどんな小さなことでも。


「俺の話ばっかすいません。光莉さんのご両親……亡くなってるんですよね?」

「え? あ、うん」

(吉良くんに話したことあったかな……?)


そんなことが過るが、知ってるということはどこかのタイミングで話したことがあったんだろう。 

「私が五年生の時に事故で……」

吉良くんは言葉の続きを待つように私をじっと見つめる。
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