クズなキミからの不適切な溺愛
「そうやって誰かれ構わず口説くのやめたら?」

「新名さんだけです」

「どの口が言ってるのかしらね」

「ほんとですよ。俺、基本、女の子からはお誘いばっかですから」

私は彼の返答にげんなりする。

「はぁあ……」

彼が新入社員として入社してから私が教育担当だったこともあるのか、私とのたわいない会話はいつもこんな感じだ。

「あ。軽蔑しました?」

「いや聞いた私が馬鹿だった。ちなみに次、和馬とのこと聞いたらセクハラで社内通報するからね」

「えーっ、マジすか」

私がジロリと睨めば吉良くんは降参のポーズを取る。

「はい、もういいません。すみませんでした」

(イケメンなのは間違いないけど、世の女の子達はこの中身クズ男のどこがいいのかしら)


私が最大限の嫌味を込めて盛大にため息を吐き出せば、彼は隣でククッと笑う。

「でも、もし何かあったら俺、相談乗りますから」

「結構です。吉良くんだけには頼ったりしないから。絶対に!」

「あはは。結局また怒らせちゃいましたね」


そう言ってこちらに見せる屈託のない笑顔に不覚ながらも、わずかに魅入ってしまう。

(いかんいかん。また吉良くんのペースにまた巻き込まれてる)

──その時、事務所の扉が開いた。
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