クズなキミからの不適切な溺愛
確かにあまり涙を見せる子供ではなかったし、誰かに頼るなら自分でできるようになりたいと思うことも、多かったように思う。

「そのために俺がいるから。光莉さんにとって何でもさらけ出せる相手になりたい。こんなこと……傲慢かもですけど」

私はすぐに首を横に振った。

「ありがとう……多分どこかでずっと自分一人で頑張らないとって思うことが多かった気がするの……弱さとか見せるのが怖いって言うかガッカリされたくないなって」

「俺が光莉さんにガッカリすることはないんで安心して」

そして繋いでいた手のひらに指を絡められて、心臓がドッと音を立てる。


「俺こそ……嫌いにだけはならないでくださいね」

そんなことあるはずない。

だってもう、私の中で吉良くんの存在が大きくなって、もう忘れたくてもきっと忘れらない。

──吉良くんが好き。

きっと彼が思っているより、ずっとずっと好きだ。


「着きましたよ」

アパートの前にたどり着くと、手を離そうとした吉良くんを察して、私は絡めた指に力を込めた。

「え、光莉さん?」

「あの……私」

見上げた吉良くんと目があって、彼の切長の目が見開かれる。

(……私、いま顔真っ赤だ)

(でも、もう伝えたい)

「えっとね」

「待って……」 

吉良くんが私の言葉の続きを遮るように唇に親指で触れた。

「夏祭り、行きません?」
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