クズなキミからの不適切な溺愛
※※

俺はパソコンをシャットダウンして鞄を持つと立ち上がった。

(まだ水曜日か)

「営業行ってきます」

俺がそう挨拶をすれば事務所のあちこちから、行ってらっしゃいと返事が帰ってくる。
勿論、隣からもだ。

俺は立ち上がると同時に、光莉さんに資料を差し出す。

「新名さん、これお願いできますか?」

「わかった、今日中に纏めてデータ送っておく」

光莉さんは完全なビジネスモードで、俺と付き合っているなんて微塵も見せない。

社会人としてあるべき姿なのだが時折、何となくもどかしくなる俺はガキすぎて、その度に自分を戒めている。


──が、俺はさほど我慢強くはない。

「参考にして欲しいところは付箋つけてます」

俺がそういえば、真面目な光莉さんはすぐに資料を広げて僅かに目を見開く。

──『今日はオムライスがいいです』


バカ犬の一件があってから、俺はなるべく光莉さんと一緒に帰宅できる日は送るようにしているのだが、いつからか送っていく日は光莉さんが手料理を振る舞ってくれるのが、ここ最近の定番になっている。

光莉さんは秒で資料を閉じると、少し困ったような声で「わかった」とだけ口にする。

(可愛い)
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