クズなキミからの不適切な溺愛
私は得意先にFAXする書類を持って、コピー機に向かう振りをしながら、ボールペンを美蘭の机の前で落とした。

心臓がとくとく駆け足になる。

(大丈夫、落ちついて)

あたりをさりげなく伺うが、私を気にしてるそぶりを見せる人はいない。

私は足でわざとボールペンを美蘭の机の下まで転がすと、美蘭の机の下に置いてある鞄をさりげなく覗き込んだ。

(あった)

封筒は開封してあり、私は指先でそっと中を覗く。


(え?)
 
入っていたのは液体が入っている小瓶でアルファベッドで『sleep happy』と書かれている。


──ガチャ

事務所の扉が開き、私は慌ててボールペンを拾うと立ちあがろうとする。


「新名先輩? どうかしました?」

背後から聞こえてきた美蘭の声に心臓が出そうになりながら、私は立ち上がって振り返る。

「ボールペン落としちゃって」

「……そうですか」

美蘭は私がボールペンを拾い上げる姿をじっと見つめてから、デスクに腰掛けた。

(バレてないよね……?)

私はコピー機へ行くと、なるべくいつも通り書類をFAXをしながら、深呼吸した。

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