クズなキミからの不適切な溺愛
こんなにうまくいくなんて思っても見なかった。ここ数週間、媚びを売るようで内心イライラしながらもカフェオレを入れ続けて本当に正解だった。


あたしは立ち上がると、新名先輩の真後ろに立つ。

そして、新名先輩が睡眠薬のおかげでぐっすり眠っていることを確認してから、データを削除するためにマウスを動かす。

(バックアップごと消さなきゃね)

「ばいばーい」

データを完全に削除したすれば、おかしくてまた笑みが溢れてしまう。

「あはは。ふふ……っ、せっかくのデザインが消えてなくなっちゃいましたね〜」

これで彼女は間違いなく会社での立場も評価も悪くなる。

「いい気味、ざまあみろ」

「──その言葉そっくり返しますよ」 

(!)

聞こえてきた声の方に顔を向ければ、切長の目と目があった。

「吉良、……なんであんたが」

そした思わぬ人物の登場に目を奪われていたら、新名先輩がゆっくりと起き上がる。

「え……っ?!」

「残念だったね、データは完成しててもう課長と吉良くんのとこに送ってあるの」 

あたしの口元がひくりと引き攣る。

「な……んですって?! 二人してこのあたしを嵌めたの?!」

「人聞き悪いな」 

振り返れば、吉良があたしの鞄から封筒を取り出すのが見えた。

「ちょっと! 勝手に人のものを!」

「新名さんの名前使って睡眠薬取り寄せて、挙句、混入させた奴が何言ってんの?」

(バレてる……?!)

「ちっ……」

あたしは、舌打ちをするとすぐに新名先輩のカフェオレを流しに捨てた。

(とりあえずこれで大丈夫)

視線を戻せば、吉良は小瓶を片手に新名先輩と二人してあたしを非難の目で見ている。
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