クズなキミからの不適切な溺愛
「吉良くん、よくここくるの?」

「そうですね、金曜の暇な時とか。でも最近は来る暇なかったですけどね」

彼は形の良い唇を意味ありげに持ち上げる。

「あ、うん……」

神楽さんが少し離れたところにいる為、私は小さく返事をする。

本当にこの二ヶ月で吉良くんはすっかり私の生活の一部分になってしまっている。


スーパーで二人分の材料を買うのが当たり前になったし、この間は通販サイトでついに吉良くん専用のスウェットまで買ってしまったのだが、彼には内緒にしている。


(そう言えばスウェット、クローゼットに入ったままなんだよね) 

(出番あるのかな、買わなくても良かったかも)

(でも胸元のわんちゃん……吉良くんにそっくりだったんだもん)

黒色のスウェットなのだが、胸元に愛らしいトイプードルがついているのだ。

しかしながら、これを買ったことを、彼に話せばまるで泊まっていくことを誘っているかのようでどうしても言い出せない。

「どうしました?」

「なん、でもない」

「何、隠し事でもしてんすか?」

「し、してないよ」

「ふうん」

彼は金曜日の夜含めて、毎回きちんと自分の家に帰っていくので果たしてあのスウェットを彼に渡す日がくるかは微妙だ。

「あの、今日も帰り……送ってくれるんだよね?」

「どしたんですか? ちゃんと送りますよ」

「うん、いつも悪いなって……」

私はやや俯く。彼が帰ってから一人きりになると、なんだか急に寂しくなってもう少し一緒にいたいなんて、子供みたいなことを思っていることを彼が知ったらどう思うだろうか。

「泊まった方がいいですか?」
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