クズなキミからの不適切な溺愛
「え……?!」

そんなに顔に出ていただろうか。まるで脳内を読まれたような吉良くんの言葉に、私はやや大きな声を出してしまった。

そして彼が肘をついたまま、端正な顔をずいとよせる。

「光莉さんからのお願いなら、何でも聞きますよ」

余裕たっぷりで意地悪な眼差しの奥には、ちゃんと男の人の欲が孕んでいて、私はすぐに彼から視線を逸らした。

「ふっ、困らせましたね」

「……別に……」

まだお酒も飲んでいないのに、顔はすでに少しほてっている。

「俺はいつでもお誘い待ちです」

「誘わないわよ」

自分からは泊まらないが私の希望なら泊まるというズルい発言に私は速攻で突き放す。
そして突き放したそばから、タイミングを逃してしまった自分にため息を吐きたくなってくる。

「つれないですね。俺はいつも帰る時、寂しいけど?」

「そう、なんだ」

吉良くんの常套句なのかもしれないが、私と同じ気持ちを持っていてくれたのだとしたら、やっぱり嬉しい。

「おんなじ気持ちでした?」

「……っ、どうかな……」

吉良くんは予想通りの返事だったのか私から離れながら、ククッと笑った。

「お待たせしました。ネグローニとファジーネーブルです」

そしてすぐに神楽さんがサンドイッチとポテトも持ってきてくれる。

「わぁ、美味しそう」

「亮輔のサンドイッチ美味いんで是非」

吉良くんの言葉に神楽さんがシャープな目元を細めると、ごゆっくりどうぞと私たちからそっと離れる。

私たちはすぐにグラスを持ち上げて乾杯した。

「んー、甘くてジュースみたい」

「飲み過ぎないでくださいね」

「うん、なるべく気をつける」

「なるべく? 次、俺の前で酔い潰れたら食われますよ」

彼はポテトを摘んで、ぱくんと口に放り込む。

「な……っ、急になんてこと言うのよ」

「俺だって男ですよ」

「でも三ヶ月は何もしないって……」

「だってさっきから隙だらけじゃん」

「え?」

そして彼が唇をすっと、私の耳元に寄せる。


「──俺、あんま『待て』得意じゃない」

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