That's not such a big deal, is it?
「すぐに終わると言ったのはどこの誰でしょうね…」
あまりに厨房内をじっくり観察しているからか、桃瀬が小言を呟いた。
桃瀬の言う通りで、すぐに終わらせるからと言ってしまった。
けれど、あまりに厨房が完成されていたり、包丁や鍋などのバリエーションが豊富だったりするので、つい注意深く見てしまう。
「じゃあ、最後にあそこだけ確認して良い?」
そして、ある箇所を示した。
冷凍冷蔵庫だ。
サイズがあるので、食材が入っているのか気になるのだ。
「まぁ、良いですけど」
桃瀬は渋々と言った感じで許可を出した。
冷蔵庫を開けると、春風は驚愕した。
野菜、肉類、魚類、たくさんの食材が入っていて、この中だけで何種類の料理が作れるのだろう。
想像していると、一つの疑問が春風の中で生まれた。
「あっ。そもそも、料理って俺達がしていいのかな?」
「たしかにそうですね。その前に、勝手に厨房入ってしまってますけどね」
桃瀬に指摘されてそもそものことに気付いた。
そこは盲点だった。
もう、後には引けないのでなかったことにしておこう。
「そうだ。ゲームマスターに聞いてみるのはどう?スマホに連絡できる機能あったし」
「ありだと思います」
ポケットの中からスマホを取り出し、連絡アプリを開く。
ゲームマスターの連絡先ををタップすると、呼び出し音が流れた。
緊張しながらも、スマホを耳に当てる。
ゲームマスターが電話に出たのを確認して、喋り始める。
「もしもし。ゲームマスターさん?」
『どウしマしたヵ?春風さン』
体育館で聞いたときと同じ、ボイスチャンジャーが掛かっているような声だった。
やっぱり、あのゲームマスターと連絡を取っているという事実がどうにも落ち着かない。
一呼吸置いてから、また話し始める。