That's not such a big deal, is it?
__こいつでもない…春風、春風…。あっ、あった。
自室の扉に付けられているネームプレートを一つずつ確認して、自身の名前を見つけていた。
春風の目の前にある扉のネームプレートには「春風勇巻」と記されている。
「桃瀬さん部屋見つかった?」
「見つけたよ」
「じゃあ一旦解散で」
「分かった。じゃあね」
桃瀬と一旦別れて、自分の部屋の扉に手を掛ける。
…開かない。
不思議に思いながらも、もう一度開けようと試してみるが、開かない。
「えぇ…何で?」
何度試しても開かない。ゲームマスターならきっと何とかしてくれるだろう。
でも、ゲームマスターにまた連絡をするのは全く嬉しくないがゲームの準備とかで忙しそうで申し訳なく感じる。
それに、もうしたくなかった。
どうしようか。
「あっ、春ちゃんじゃーん」
扉を開けられないままでいる春風に、そう声を掛ける人がいた。
春風が視線を移すと 望月しゅがー (もちづき しゅがー) が春風の方に向かって歩いていた。
薄茶の髪をマッシュにした望月は事あるごとに言葉をダジャレに紐づけて毎回滑っている男子だ。
その隣に 朝一市電 (あさかず しでん) もいる。
朝一は黒髪に黒い瞳、それにメガネを着用しているのでパッとしない見た目に思うが、前髪を後ろに持ってきて留めているという目を引く髪型なのでそこで調合をとっているのだろう。
朝一がいるなら朝一と仲良しの 葉菜彦寝緒夢 (はなひこ ねおむ) もいると思ったが、見た限り見当たらない。
夏でも冬でも一年中夏服のポロシャツを着続けるという男子が葉菜彦なのだが、それに加えてよく授業中でも寝ている姿が見られる。
「何してんだよ」
春風の行動が不審に思ったのか、朝一が気だるげに尋ねる。
折角だから、この二人に助けてもらおう。
「何度やっても扉が開かなくて…」
「え?」
二人に相談すると、二人は頭にハテナマークを浮かべたような顔をした。
その後、望月がはっとした表情をしてから笑い始めた。