That's not such a big deal, is it?
「扉はスマホをかざすと開くってゲームマスターが言ってたと思うんだよねぇ」
望月の言葉に扉をガチャガチャと鳴らしていた春風の動きが止まる。
…スマホをかざす?
ゲームマスターの言葉を思い出そうと思考を駆け巡らせた。
「あっ!」
そのとき、春風はまた頭に衝撃の稲妻が走ったような感覚がした。
『そゥだ、ご自身の部屋二入るとキハそのスマートフォンをドアにカザせば開キますかラ』
そうだった。
あのときゲームマスターの話を聞いて、スマホはカードキーみたいな役割もあるんだなと思ったことをすっかり忘れていた。
ポケットからスマホを取り出すと、自分の行動を笑うかもしれない二人の反応をなるべく見たくないので早めに切り上げて部屋に入ろうと思い、勢いよくドアノブに付けられているリーダー端末にスマホをかざして扉を開こうとする。
だが、また扉は開かなかった。
なんで?これで開くはずでは…?と焦りを感じる春風の首筋に冷や汗が流れる。
「どうやら数秒かざさないとダメらしい」
春風の行動を見かねて、朝一が助言を寄越す。
これ以上失態は犯したくなかったのにと思っていたが、時すでに遅しだ。
仕方なく、もう一度スマホをかざした。
そこで数秒待つと、扉のロックが解除された音がした。
「…良かったあ」
自分が思ったよりも春呑気な声が零れた。
ひとまず、一件落着だ。
「開いてよかったな」
「うん。あ、そういえばさ、寝緒夢はいないの?」
最初に二人に出会ったときに気になったことを聞いてみた。
すると、朝一が呆れ顔になった。