That's not such a big deal, is it?
よくよく考えれば、こんなことで気に病む必要なんてなかった。そう思い、男子風呂へと歩を進めた。
「お、春風じゃん」
「ん?あ、本当だ」
脱衣所に入ると、 華麗州堕羽 (かれいしゅう おちば) と犬飼がいた。春風は二人を目にした瞬間安堵の声を漏らしていた。
華麗州は校則違反のツーブロックで校則違反のパーカーを着用するという、校則違反野郎こと校則違反者の中では珍しい二個も校則を破っている男子である。
ちなみに、春風もパーカーを羽織っていて黒髪に赤メッシュを入れたのでパーカー着用と染髪で見事、校則違反野郎なのだ。
二年生の三分の一以上は校則違反野郎という事実にさぞ生徒会も頭を悩ませていることだろう。
「はぁ…良かった」
「良かったってどういうこと?」
春風の言葉に華麗州が頭を傾げている。
桃瀬と一緒に行動していたのに他の女子たちは桃瀬にしか話しかけないから、自分がここに存在しているのか不安になっているときに二人が自分に話しかけてくれて安心した…。
なんて本当のことを包み隠さずに伝えたら絶対華麗州に笑われるから春風は適当に濁すことにした。
「いやあね、四階に着いてから男子と会ってないからさ」
「ふーん、そうなんだ」
当たり障りない返答をすると、華麗州は視線をこっちに移さず言った。
その反応はまるで興味がなさそうだった。
でも、それが当たり前だろう。
どうでもいいことではあると自覚している、春風が「良かった」と発した理由なんて。
ちょっと、気になったから訊いてみただけ。
訊いたからには一応返さないとという感じで言葉を返しただけ。
ただ、それだけである。
「かれーしゅー!!ちょっとこっち来てよ!」
すると、風呂場から望月だと思われる声が聞こえた。
「ん。今行くー!…んじゃ、オレは先に行くから」
春風と犬飼がわかった、と頷くと、華麗州は一足先に望月がいる風呂場へと向かった。