That's not such a big deal, is it?
「はるちゃん。やっぱり、今のこの状況ってやばいよね…?みんな、何もなかったことにしたいのか、和気あいあいとしているし。…怖いよ」
華麗州がいなくなったところで、犬飼がそう不安を口にした。
犬飼のその言葉を聞いて心底安心する。
よかった、自分だけではなかったんだ…と。
この現状を怖がっているのは犬飼もだったんだ。
そうだよな、やっぱり怖気づいちゃうよな。
「わかるよ、犬飼。怖くて怖くて仕方ないよな。でも大丈夫だよ。犬飼はこの状況を受け入れることができているんだから」
「…?」
そこまで言うと、犬飼は俺が何を言っているのかわからないという表情をして首を傾げている。
ついでに、もっとわかりやすく説明してよ、と犬飼が目で訴えていた。
「他の女子たちはいつも通りで何も変わってないって思っただろ?実はな、いつもみたいに過ごしていないと今のこの惨状を思い出しちゃうらしいんだ。わかりやすく言えば、まだ受け入れきれていなくて現実逃避しているんだよ。まぁ、その気持ちはわかるから…現実逃避しちゃうのも仕方ないとこあると俺は思う。だからそのことについては心配しなくていいよ。で、俺が言いたいのはさ…犬飼はちゃんと受け入れて少なくとも前を向いているのだからきっとなんとかできるしなんとかなるよってこと。絶対、生き残ろうな」
犬飼の目をしっかり見て、伝えた。
全てを言葉にするのは難しかったけど、少しは犬飼に伝わったかな。
「うん…ありがと」
少し涙ぐんでいた犬飼がそう零した。
どうやら、伝わったらしい。
「僕、こんなことになって不安で不安でどうしようもなくて…もうこの世の終わりだと思ってた。でも…はるちゃんとならできる気がする、生き残れる気がする。例え陣営が違っても、絶対生き延びようね。はるちゃん」
春風がしっかり伝わったことに嬉しみを感じているのも束の間、犬飼がそっと小指を出してきた。
なるほど、約束を交わそうということか。
「もちろん。約束だからな」
春風も小指を出すと犬飼の小指に絡め、指切りげんまんをした。
傍から見ればとても微笑ましい様子だろう。
ただ、場所が脱衣所なのがその雰囲気を壊しているだけで。