That's not such a big deal, is it?
その後、春風と犬飼も入浴を終えた。
入浴中は思ったより日常的な会話が多かった。
「あの番組見た?」とか「あの作品の黒幕あいつじゃね?」とか話していて、人狼ゲームについての話題はあがらなかった。
けれど、その後に現実を思い出したのか談笑していた人たちは静かになってしまった。
春風は風呂の最中、あまり喋らなかった。
隣には犬飼がいたが、なんだか喋る気にならなかった。
『ふぁあ〜まだ眠い。…春ちゃんと犬飼?どうした?』
指切りげんまんをした後、普通ならここでもう指を引くと思うが、なぜか犬飼の指は春風の指から離れなかった。
別に春風は自分から離してもよかったが、意地を張ってしまって春風も離さなかった。
自身の小指に更に力を入れ、強く絡める。
犬飼も負けじと力を強め絡めてくる。
お互いぎゅっと力をこめた所為で、一方が抜け出そうとしても離れなさそうなくらい。
そもそも、意地もあるこの状態だから離さないつもりだが。
そう思ったときだった。
いつの間にか、春風たち以外にも脱衣所に訪れた人物がいたのだ。
葉菜彦と朝一だった。
葉菜彦は寝ぼけ眼のまま脱衣所に入ったが、春風と犬飼の不思議な光景に目をぱちくりさせ驚いた表情でそう尋ねたのだった。
『あっ。寝緒夢に朝一じゃん。ううん、気にしなくて大丈夫だよ』
葉菜彦の質問に何でもないと答えると犬飼は、呆気に取られて力を緩めてしまっていた春風と絡めていた指をぱっと離し、素早く服を脱いで風呂場へと行ってしまった。
春風が急な展開についていけていないままでいると
『何だ、あれ?』
犬飼の行動を妙に思った朝一がそう呟いていた。
『俺もわかんない…』
春風もそれだけ言うと、一糸まとわぬ状態になって風呂場に消えていった。