That's not such a big deal, is it?
「そういえばさ、女子たちはどんな感じだった?」
「…どんな感じとは?」
「えーとね、入浴中の様子が暗かったとかこんな話したなぁとか」
「なんでそんなことを気にするのかは聞かないでおいてあげるね。うーん、みんな何も変わってなかったよ。何も変わっていないように取り繕ってたんだろうけど」
厨房まで向かう途中の階段で気になったことを桃瀬に尋ねてみた。
桃瀬の話を聞く限り自分たちと同じ感じだろう。
「最初の方は『やばくね?』とか『どうすんのこれ?』みたいに冗談気味に喋ってたけど、段々とみんな不安になっちゃったのかな…空元気もやめちゃって喋ることさえしなかったよ」
「こっちもそんな感じだよ」
「みんな、気まずい雰囲気にならないように気を遣ってるみたいだった。それが受け入れられていない証拠なんだって、現実逃避だって言われたらそうかもしれないけどさ…少なくとも私にはできなかった。こんなときまで周りのことなんて考えられないよ。自分のことだけで精一杯なのに…。あーあ、どんどん自分が惨めになってきちゃうなぁ」
何も言えなかった。
桃瀬が慰めの言葉を求めているのか、それともただ聞いてほしかっただけで励ましてほしいわけではないのか、春風には判断できなかった。
桃瀬のぼやきは誰にも相手されることなく、空気に溶けて消えていった。
桃瀬ももう何も言わなかった。
言いたいことを一通り言えて満足したのか、春風が桃瀬の思った通りの対応をしなかったから不満なのか、またしても春風にはわからなかった。
誰も何も言わない空気にそろそろ耐えかねていると、不幸中の幸いとでも言うのだろうか食堂(元技術科室)に到着していた。
食堂に入るなり厨房内に足を踏み入れる春風の後ろを桃瀬が無言で着いてきた。