That's not such a big deal, is it?
今日はカレーだったな。
厨房の入口辺りに立ち尽くしている桃瀬には気づかないふりをして材料を探そうとしていると、
「わ、私って何を手伝っていいのかな…?」
桃瀬から話しかけてきた。
申し出てくれた最初は手伝いが有り難いと思っていたが、さっきのせいで気まずさが勝って会話を続けるのが難しそうでいっそのこと帰ってほしさもあった。
けど、流石に帰ってくれ、なんて言ったら桃瀬にどう思われるか…そう考えたら言えなかった。
せめてもの抵抗で別に何もしなくても大丈夫だよ、と伝えてみたが桃瀬はいかにも納得いかない様子でうーん、と唸っている。
どうやらここは自分が折れるしかないみたいだ。
「じゃあ、食材とか調理器具だとか俺が言ったやつ出してくれる?」
「うん、わかった」
「桃瀬さん!あれ取って、あれ!」
「あれって何…?これ?」
「…違うや。えーと、あれだよ、あれ…そう、とにかくあれなんだよ」
「急に老けた?お断りしときますけど、私は目線とかでわかったりしないからね?」
「なんで目線の話?」
「桃瀬さーん、次これ切って…って、まだ切り終わってないの!?」
「え、うん…なんかごめん」
「もうこれ俺一人で切ったほうが早いんじゃ?というか、全部俺がやった方が…」
「正論やめて。結局春風さん一人に任せるべき…になってしまう」
「別に任されてもいいけどね?」
「でも全部春風さんにさせたら、多少はやらせなきゃって人が乗り込んでくるよ?」
「誰だよそれ…」
「やば。調味料入れすぎたかも」
「あの人たち味覚死んでる人とかいるし、構わないんじゃ?」
「桃瀬さんも調味料入れる作業する?」
「私がやったらさじ加減がわからずにどばーって入れる可能性もあるけど大丈夫?」
「…やめておこうか」
「賢明な判断でなにより」