家族になった来栖くんと。
「っ…!」
「トイレ?水?どっち」
壁伝いにリビングへとたどり着く手前、身体がそっと背後から支えられた。
「お、おみず……」
「わかった。ソファー座れる?」
「…うん」
私の物音に気づいて助けてくれたのか、たまたま鉢合わせただけか。
真相は来栖くんにしか分からない。
「はい。飲めそう?」
「ご、ごめ……、…あ、ありがとう」
「…いーよ。他にもなんかあったら言って」
夢を見ているのかもしれない。
私のとなりにピッタリくっついて、覗きこむように優しさをくれる。
声も、雰囲気も、温度も、ぜんぶが夢みたい。
間接照明が照らされるリビングに、私のゴクゴクと飲みこむ音が静かに響いた。
「冷えピタ、替えたほうがいいな…」
「だ、大丈夫…、自分でできるから…」
「…………」
手を払いたかったわけじゃない。
優しさを振り払いたかったわけじゃない。
でも、このままだと泣いてしまいそうだったから。