家族になった来栖くんと。




「たしかに最初に煽ったのは俺かもだけどさ」



形のない掃除は、ゴールがない。

だからこそ、きっと須和くんは私の背後にそっと腕を回してきたんだ。



「……したら怒る?」


「っ…、おこ…る…」



土曜日だよ、須和くん。
それにここは私のおうちなの。

今日はたまたまお兄ちゃん夫婦は出かけていて、お父さんとお母さんも私の様子が大丈夫そうだということで夫婦水入らずのショッピング。


ただ、ひとりだけ。


「白山さんのことは任せてください」と言った、彼だけを残して。



「…逃げないね?」



5センチ。
お互いの唇と唇の距離は。

ピタリと寸止めをされて、その代わり合わさってしまう目からはどうしても逃げられそうになかった。



「須和くんのエクボ……いいな」


「…それって今?」


「いつも思ってたんだ。笑うと右側に出るの」


「……つぐみちゃん。けっこー大胆なことしてる自覚ある?」


「え……?あっ!ごっ、ごめんなさい…!」



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