家族になった来栖くんと。
「…ほら…、俺のことしか見えなくなった」
カタンと、彼がもっと私に近づいたことで椅子が音を立てた。
いつ生徒たちが入ってくるか、わからない。
先生が覗きにくるか、わからない。
そんな謎の背徳感がもっと私たちに秘密の時間を与えてくる。
「すわ…くん…、だめ、」
「…ん」
「ゃ…っ」
「…つぐみちゃん、柔らかすぎ」
返事は返ってくるものの、離れた唇は今度、髪の毛を退かした首筋に落ちてきた。
くすぐったくて、こしょばゆい。
そのなかにゾクリ、またゾクリと、お腹の奥から湧き立ってくる別の何か。
「ひゃ…っ」
「…これでも俺、いつもけっこー我慢してんだよ」
「そ、それ以上したらっ、明日…、いっしょに走らないよ……っ」
ピタリと、止まった。
私の首筋に埋めていたクラスメイトの顔が、そっと離れる。
「それはやだ」
どうしよう。
こっちのほうが耐えられないかも……っ。
この短期間のあいだに私は元カレにファーストキスを奪われ、そしてクラスメイトの人気者さんに2回目を奪われたのだ。