家族になった来栖くんと。




「つぐみ、立って」


「へっ…?」


「いーから立って。…はいできた」



初めての呼び捨てに戸惑う暇もなく、「立って」と言いながらも彼のいつもどおりの強引さに、私は直立。

固定されてしまった足場に、ぐらっと傾いたところを支えてくれるは須和くんの手。



「足踏みできそ?」


「えっと、あの……」


「掛け声どーする?1、2、って感じでいい?」



いや、須和くん。

きみは今は私じゃない人との商談中なのでは……。



「そうそう、うまい。転ばないようにだけは気をつけるんだよ」


「……はい」


「ちょっと〜、スワくん?」


「つぐみ、もう1回練習しよ」


「わっ!須和くん待って…!」



そこで。

「須和くん!!」と、大きめの声で呼び止めてきたリンカ先輩。


彼女の視線から咄嗟に逸らしてしまった理由は、かなり、とてつもなく、恐ろしかったからだ。



< 196 / 337 >

この作品をシェア

pagetop