家族になった来栖くんと。




「きっと彼女さんにプレゼントするつもりだったんじゃないかな?その頃はちょうどクリスマスが近かったから」


「…………」


「つぐみちゃん?もしかして味…薄かった?」


「…いえ。おいしい…です」



なにを選べばいいか分からないから持ってきてないって、あのとき言ってたよね。

かまくら祭りでイヤホンを渡した私に、あなたは自信がなさそうに。


それは、その図鑑だけは渚ちゃんに渡そうとしていたものじゃないことくらい……わかるよ。



「結局渡せたのかなあ……あの子」



涼さん。

彼は物ではなく、言葉をプレゼントしてくれたんです。

ずっと一緒にいるという、約束を。


不器用ながらの精いっぱいだったんでしょう。



「…なんか、かわいいですね。来栖くん」


「ふふ。無愛想で言葉も足りないけれど、あれでも私の自慢の弟なの。本当は…心の奥は、誰よりも優しい子でね」


「……そうだと、思います」



私はいま、どんな顔をしているだろう。

きっと、絶対に、北斗くんには見せられない、見せちゃいけないものな気がする。


そして彼に似ている涼さんの顔も、見ることができなかった───。



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