家族になった来栖くんと。




「ねえねえママ、どこかでお祭りあるの?」


「花火大会は来週のはずだけど…」


「だってあのひと、浴衣だよ?」


「本当ね〜。この時期はいろんなところでお祭りがあるんじゃない?」



やっぱりちょっとだけ浮いちゃってるな…。


駅に到着して、待ち合わせの改札前を目指すだけで通りすぎる人間は私を見てくる。

それほど、今日この町で浴衣を着ている女の子は居ないということだ。



「ごめんね北斗くん!お待たせしました…」



私が到着する数分前から待たせてしまっていた。

見つけて小走りで向かった私の音に、すぐに振り返った彼は。


想像していた反応では、なかった。



「……走ったら転んじゃうよ。俺ぜんぜん待ってないから」


「あ……うん」



静かに、甘く、ささやくように。

てっきり「かわいい」と、第一声で言ってくれるんじゃないかって浮かれていた部分があった。



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