家族になった来栖くんと。




「電車、あと5分で来るっぽい。…行こう」



そっと拾われた手は、いつもより握り方も軽い。


10歳年上の義姉に教えてもらったメイク。

購入したまま開封することなく1年以上が経っていたささやかなメイク道具を、まさか開封する日が来るなんて。


でも……ごめんね涼さん。

北斗くんの反応からして、似合ってないみたいです…。



「だんだん浴衣着てる子、増えてきたね」


「…たしかに。みんな俺たちと同じお祭りに行くんじゃない?」


「…うん。屋台は…何があるのかな」


「…いろいろ見てみよ」



目が、合わない。


ガタンガタンと揺られる電車に座った私と、目の前のつり革を掴んで立った北斗くん。

向き合っているはずなのに、ここまで目を合わせてくれないのも初めてだ。



「あのお兄さん、ちょーイケメン!」


「高校生かな?大学生…?」


「隣のひとって彼女さんだよね?どうやってゲットしたんだろ…」



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