家族になった来栖くんと。




「北斗くん、おいしい…?」


「…ん、あっつい」


「これ…垂れないようにティッシュ」


「…ありがと」



屋台の定番から変わったものまで、彼のチョイスで並べられた。

ふたりで食べて、時間になったら花火を観て。


今の綺麗だったね。
そうだね。


交わした会話はたぶん、それくらい。



「ちょっと人混みが落ち着くまで待とっか」


「…うん」



そこまでいろいろ気を遣わせてしまうくらなら、浴衣は辞めればよかったかな…。


後悔が浮かぶほど、あっという間に花火大会は終了した。

帰りは人の流れを少し待ってから、レジャーシートを畳んだ私たち。



「……北斗くん」



カラカラと、私の足音だけが妙に響く帰り道。

会場である公園の出口へと向かう途中で、彼は私の小さな声にやっと落ち着いて振り返ってくれた。



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