家族になった来栖くんと。
「たのしく、なかった…?」
「え、なんで…?」
「…浴衣も…似合ってなかったよね…、ごめんね」
「待って待って。つぐみ…?」
街灯が足元を照らしてくれるなか、私の目尻は別のもので光ってしまう。
この涙は流したくなかったな…。
そして彼もまた、その涙は流させたくなかったと、それだけは思っていたようで。
「…こっち、おいで」
帰り道を抜けて、ぽつんと設置されていたベンチを目指してゆく。
私を引く手は、なにかに急いでいるようにも思えた。
「浴衣、似合ってないわけないじゃん。俺ずっと可愛いって言ってたでしょ?」
「い、言ってないよ…?1回も…」
「……えっ。待って、ぜったい言ったぞ俺」
「言ってないもん!うそつき…っ」
噛み合わない会話を最初に理解したのは、私じゃなかった。
「……嘘だろ…」と、つぶやいた北斗くん。