家族になった来栖くんと。




「はっ、はっ…!」



隣町の鈴川祭り。

それは毎年この町で行われる花火大会よりも一足早く開催される祭りだった。


俺もこの町に引っ越してきたばかりの小学生の頃、1度だけ行ったことがある。

小規模ながらも屋台も出て花火も上がって、わりと楽しんだ記憶があった。



『私……好きなひと、できたよ』



べつにいーよ。
その祭りに好きなやつと行ってたって。

どうせあいつ、スワなんだろ。


白山さんが幸せならいい。
白山さんが笑ってんなら、それでいい。


これだけは偽りのない俺の本心でもあった。



「っ…!」


「桃弥くん!」



ブーッと、短めにひとつ鳴らされたクラクション。

背後から追いかけてきた車からで、運転席の窓から焦りぎみに顔を出したのは姉の旦那。



「つぐっ、つぐは見なかったか…!?」


「俺もっ、いま探してて…!」


「桃弥くんのとこでもないのか…、21時前には電車に乗るって電話があったってのに……どこ行ってんだあいつは」



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