家族になった来栖くんと。
「来ないで……っ、やだあ!!やだっ、来ないでぇぇ……っ」
脳裏に埋め込まれてしまった恐怖が、味方と敵を区別できないでいた。
俺が近づいたとしても暴れるそれは、必死に自分の命だけを守ろうとしているせめての防衛本能なのだろう。
「さっ、さわらないで…!やめて…ッ」
「白山さん!俺だ…!」
「やだ…っ、やだあ…!!」
「ッ…、つぐ、……白山さん」
あの頃のように、呼ぶ。
白山さん。
俺は、苗字止まりだった。
「っ…!……くる……す…くん…っ」
もしかすると安口 渚の仕業なんじゃないかと思っていた。
平気でストーカー行為をしては、距離感や礼儀が終わっているあの女は何をするか分からない怖さがある。
だとするなら完全に俺のせいだ。
ただ、この場にいる人間は見る限り初めて見る人間たちばかり。
だいぶ狂った思考回路をしていると思う、俺も。
どこに行っても敵を作ってしまう白山さんが……可哀想で、愛おしくて、たまらない。
「くるすくんっ、来栖くん……っ」
「…俺、いるから。ここにいる」