家族になった来栖くんと。
包み込むように抱きしめる腕も。
安心させたいと、背中を撫でる手も。
大丈夫だと伝える声も。
忘れたことなんかなかった。
あの時間を忘れるなんか、したくない。
ずっと、ずっと、好きだった。
今だって………ほんとうは。
ぜんぶぜんぶ、いつだって格好つかない俺は。
『馬鹿だと思ったでしょ…?いつまでも宝物みたいに取っておいて……本当にばかで気持ち悪いよね』
落ちた缶ケースに入っていた、思い出。
写真など1つもないなか、せめてのレシートやチケット。
馬鹿なわけない。
気持ち悪いわけ、ないだろ。
もしそうなら、俺も馬鹿で気持ち悪いってことだ。
俺と同じことしてんだなって、思った。
「退けよテメェ…!!コイツ…ッ!」
「うぐ……ッ、はっ、ッ…!」
「やめて…っ、だめ…、しんじゃう……、来栖くんが死んじゃうよぉ……っ」
俺だって机の引き出しの奥に入ってるよ。
渡せなかったプレゼントだってある。
ただ、ひとつだけ。
ずっと一緒にいる────その約束だけはどんな形であれ守ることができてしまう「親族」という鎖が、本当はとてつもなく悔しかった。
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