家族になった来栖くんと。




「あ、ありがとう来栖くん…」


「……は?ありがとうって、なんで?」


「えっ、いや、だって……謝るの、怒られちゃったから…」


「べつに怒ってない。俺はただ……」


「…ただ?」


「……なんでもない。じゃあね」



私にも話しかけてくれる。
それだけで良かったの。

来栖くんと私にしか知らない会話があるだけで、初恋は温かいものになったから。


来栖くんが私を見てくれるなんて夢のまた夢だって、私がいちばん分かっていたはず……なのに。



「俺、白山さんすごくいいなって……思う」



文化祭が終わって、3年生は受験まっしぐら。

テストばかりの毎日のなか、小さな幸せを感じるように先生に借りた音楽室でこっそりピアノを弾いていると。


そこに何度か顔を出すようになった、クラスで人気者のクールな男の子。



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