家族になった来栖くんと。
「まあいっか。つぐみ、こんなクズ放って…」
「っ…、」
当たり前のように伸びてきた手に、ビクッと恐怖を向けてしまったのは私だった。
引き返すように止まった彼氏の利き手が、行き場を失って彷徨う。
どうしよう……、どうしよう…。
北斗くんが怖いわけじゃない。
夏休み中、ろくに連絡できなかったのに、こうして迎えにきてくれて嬉しいの。
うれしいんだよ……ほんとうに。
「…ごめん。今のは俺が悪かった。怖がらせちゃってごめんね」
「あっ、その…、ちが…っ」
「いいんだ。…ゆっくりでいーから」
これが副作用。
脳では理解していたとしても、意思を持たない身体が条件反射として出てしまう。
「顔色、思ったより良さそう」
「え…」
そこで一歩と前に出て、私に迷わず触れてきたのは来栖くんだった。
そっと撫でられた頬から伝わる安心は、誤魔化しきれない事実として確かなもの。