家族になった来栖くんと。
隣町に行けなくなった。
駅の近くの自販機に寄れなくなった。
そばを横切る車が怖くなった。
身体に刻まれてしまったトラウマは、私から自由を奪ってきた。
「ほ、北斗くん…」
どう声をかけていいか分からないなか、か細い声が精いっぱい。
それだけで目線を合わせるように応えてくれる彼はもう、すべてを悟ったような微笑みだった。
「これは俺が自分で決めたことだから。今は…この形が一番いいって。ね、つぐみちゃん」
ごめんね。
ありがとう。
本当に本当に、申し訳ないです。
私の言葉にならない気持ちさえ、北斗くんはすでに分かっているのだと。
「ねえ聞いた?リンカ先輩、引っ越したんだって」
「えっ!?そーなの!?」
「なんか事故?起こしたみたいで。よく分かんないけど、男子たちが落ち込んでるのウケる」
学校に行くと、さっそく生徒たちの間でウワサが飛び交っていた。
どこから本当でどこから嘘なのかを知っているのは私と北斗くん、それから学校側だけ。
ほんの少し気が引けてしまった私に、背後からそっと囁かれる。