家族になった来栖くんと。




「大丈夫。学校には俺がいるし…外にはトーヤがいる」



怖いものはもう、法が裁いた。

リンカ先輩もこの学校にはもういない。



「…うん」



大丈夫、だいじょうぶ。

ぐっと勇気を出して右足を踏み出そうとした、背中。



「つぐみ〜!おっはよ〜!」


「わっ…!お、おはよう…寧々ちゃん」



変わらない友達の声が、ここまで心を温めてくれるなんて。

寧々ちゃんの笑顔はいつ見ても元気が出る。



「ごめんね夏休み中あまり連絡できなくて!いや実はね、すっっごい厄介な風邪引いてさ〜、めちゃくちゃ寝込んじゃってたの!」


「そ、そうだったの…?大丈夫…?」


「もち!完全復活よ?ほらほら、教室いこ?」



いつものように私を連れて行ってくれる寧々ちゃんに感謝しながら、ローファーから上履きに履き替えた。

そこで寧々ちゃんは振り返る。



「須和ー?ボサッとしてどーしたの?」


「…いや」



聞けなかった。


知り合いの子猫ちゃんを引き取ったんだよね。
茶太郎くんって名前を付けて。

かわいい写真を何枚も送ってくれていたのに、1度も返信することができなかった。



「……守れなくて……ごめん」



そう、悔し紛れな声すらも。

私は聞いてあげられなかったのだ。








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