家族になった来栖くんと。
まさか来栖くんと一緒に夏を歩けるなんて思わなかった。
きみと並んで歩いた季節はいつも寒くて、私は必ずマフラーをきゅっと結んでいた。
白い息が空へのぼっていって、「寒いから」なんて理由をつけて手を繋ぐような。
いつも、そんなものだったよね。
「あ…、この花…」
ツタバウンランだ。
道端に咲いている花を見つけてしまうと、なんとなく足を止めてしまう。
夏休みが明けた9月上旬の放課後は、まだまだ暑かった。
「…それ、ツタバ……ランウン、みたいなやつ」
「えっ…」
「……らしい」
物知り博士さんの声じゃない。
幼少期は図鑑を持って、だれも聞いていないのにペラペラと知識を見せびらかしていたと笑っていた彼ではなく。
ちょっと惜しい答え方をしたのは、タンポポくらいしか知らなかったような人。
「……ふふ」
「…なんで笑うの」
「ツタバウンラン、だよ。ちょっと間違ってたから」
「………恥っず」
やっとこんな話ができるようになったね。
切ないけれど嬉しいな…。
北斗くん。
本当に、あなたのおかげなんだ。