家族になった来栖くんと。




「とりあえず…待つか」


「そうだね…」


「…………」


「…………」



沈黙さん、やめて。

静かな時間があるだけで、暇さえあれば脳内は勝手に思い出しちゃうんだから。


それまでは来栖くんを見て思い出すのは辛い記憶や言葉だったのに、今は緊張とドキドキが半分以上を占めている。



「…ふっ」


「え…?」



と、こわばる私とは反対に、なぜか吹き出す来栖くん。



「ははっ。段取りわる」


「…ふふっ。本当だね」


「でも、それが手作り感あっていーよ」


「…うん」



和んだ雰囲気のなか、私はふとリビングに掛けられたカレンダーを見つける。

今日という日付けに赤丸が付けられていて、そこには「結婚記念日」と書かれていた。



「来栖くんのお父さんとお母さん、もしかして今日が結婚記念なの?」


「あー……らしい」


「そうなんだね。……あれ?19時〜ディナー…って、」



小さくメモがある。
ディナーって、夕食だ。

でも来栖くんはさっき、両親と私で夕飯を食べるとかなんとか……涼さんに言っていませんでしたか。



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