家族になった来栖くんと。
桃弥side




『もしもし来栖くんっ?』



彼女はこんなにも可愛い声をしていたのかと。

ふっと目を閉じれば、満面の笑みの少女が脳裏に浮かぶ。



「なんか機嫌よさそう。いいことでもあった?」


『やっぱりわかる…!?あのねっ、これから…会える……?』



無邪気な跳ねるような声をしているのに、大事なところはやっぱり自信がなくなる。

それが白山さんなんだよなと、俺は意識していなくとも声のトーンが甘くなった。



「うん。会える。今どこにいる?」


『いま学校近くの歩道橋にいるから、駅前のカフェとかで待っててもらえる?20分くらいで着くと思う!』


「わかった。でもゆっくり来て。転ばれたらそっちのほうが心配だから」



なにか良い知らせがあるんだろう。

ここまで嬉しそうな白山さんの声はたぶん、かなり珍しい。


俺も伝えたい。
もう我慢すんの、やめた。


白山さんへの気持ちはどうしても、なにをしても、消すことができなかった。

だったらいっそ、伝えようじゃないか。


そんな俺らしくないことを思うようになったのは1年という流れた月日と、白山さんのせい。



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