家族になった来栖くんと。




「それに焦りまくりでカミカミだったって。これ、姉さんに聞いたから確実」


「うそー!ふふっ。あ、でも結婚式もかなり緊張してたから、お兄ちゃんってたぶんね、自分の本番には弱いタイプなんだよ」



それって弁護士としてどうなんだろうね?と、すこし大きめの声で茶化してみる。



「それに居酒屋って!その日くらい背伸びするべきなのに……お兄ちゃんってば、ヘタレ」



妹としての文句を垂れる私の隣。

並んで立ったスーツ姿の彼は、また大人びた表情でほほ笑んだ。



「でも…俺も逆にそういう感じがいいのかもなって思った」


「え…?」


「最上階のビルとか、コース料理とか。もちろん考えたんだけど…さ。ちょっと変わったことがあった帰り道とかのほうが……俺たちにはいいんじゃないかって」



つぐみ───と。

飽き飽きするほど聞いているというのに一向に飽きない声で、改めて呼ばれた名前。



「ただ北斗の結婚式のあとってのが納得できないけど。俺はあいつの結婚式よりも前から、もともとこの日って決めてたし」



もう……そこに対抗意識を持ってどうするの。

期待と緊張が入り交じるなか、私は今できる反応として、ふふっと響かせた。



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