家族になった来栖くんと。




「ちょっと待って、1回止まれ。その調子で包丁叩くとか怪物でしかない」


「でもっ、料理は時間との勝負って…!」


「それは安心安全で作れる程(てい)がある人にだけ当てはまる心得なんだよ」



むやみやたらにまな板を叩いていた包丁、止まる。

飛び散りまくっている玉ねぎ。
悲惨すぎる状況に、笑いさえ起きない。



「ゴーグル持ってくれば良かったねぇ…っ」


「……ふっ」


「え…?」



いま、笑った……?

私の気のせい?聞き間違い…?


来栖くんから嫌味のない音が聞こえた気が…したような。



「目、ゆすいで来なよ。俺がここ片付けとく」


「ご、ごめんなさい…」


「…洗面所そっち。ちゃんと歩ける?」



歩けないって言ったら、どうする?


どうしてくれる…?

支えてくれる?
鬱陶しそうな顔をする?


ねえ、来栖くん。

私が悲しくて泣いてると思ってすぐに駆けつけてくれたの……?



< 36 / 337 >

この作品をシェア

pagetop