家族になった来栖くんと。
「ちょっと待って、1回止まれ。その調子で包丁叩くとか怪物でしかない」
「でもっ、料理は時間との勝負って…!」
「それは安心安全で作れる程(てい)がある人にだけ当てはまる心得なんだよ」
むやみやたらにまな板を叩いていた包丁、止まる。
飛び散りまくっている玉ねぎ。
悲惨すぎる状況に、笑いさえ起きない。
「ゴーグル持ってくれば良かったねぇ…っ」
「……ふっ」
「え…?」
いま、笑った……?
私の気のせい?聞き間違い…?
来栖くんから嫌味のない音が聞こえた気が…したような。
「目、ゆすいで来なよ。俺がここ片付けとく」
「ご、ごめんなさい…」
「…洗面所そっち。ちゃんと歩ける?」
歩けないって言ったら、どうする?
どうしてくれる…?
支えてくれる?
鬱陶しそうな顔をする?
ねえ、来栖くん。
私が悲しくて泣いてると思ってすぐに駆けつけてくれたの……?