家族になった来栖くんと。




「来栖くん。あのね、前のこと…」



謝りたいんじゃなく、真実を話したい。

そう思って出した勇気は、1本の電話にかき消されてしまった。


スマートフォンを手にした来栖くんは立ち上がって、少しだけ場所を離れる。



「あー…別にいつでもいいですよ。続編もあるんで、また気に入ったら貸します」



カレーの水っぽさが戻ってきちゃった。

お友達からの電話なんて、珍しいことじゃない。



「どっちが上から目線ですか。かなり強引に貸せって言ってきたの先輩でしょ」



学校の先輩なんだ…。

男の子かな、女の子かな。



「てか、先輩こそ彼氏いますよね。面倒なことに巻き込まれるのだけはほんと無理なんで俺」



カレー、なんにも美味しくない。

たった今、美味しくなくなった。


野菜だってちゃんと火が通っていないものがあるし、よく見ると形もバラバラ。



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