家族になった来栖くんと。




こうなるなら耳をふさいでおけば良かった。

やっぱり作るだけ作って帰れば良かったんだ。


私っていつもいつも、聞きたくないこと聞いちゃうな…。



「え、もう帰んの」


「うん。ごちそうさまでした」



電話を切ってすぐ、来栖くんは変なことを言ってきた。

「まだ帰らないで欲しい」にも取れてしまう言葉だ。


そんなわけ、ないのに。


ただもう、ここには居たくなかった。

勝手に決めつけて嫌なことばかり考えちゃいそうだから。



「ごめんね、洗い物したかったんだけど…思ったより時間過ぎちゃってて」


「いーよそんなの。…暗くなってるし、駅まで送ってく」


「…ううん、平気だよ。ありがとう」



ぎゅっと、マフラーをうしろで結ぶ。
これだけが今は私の味方。

だってこんなに暖かいんだもん。


なのに心は、どうしてぜんぜん温まってくれないの。



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