家族になった来栖くんと。




「…ほんと、去年も憐れだったな俺って」



それは私のセリフ。

好かれていると思っていた。
少なくとも嫌いではないだろうって。


お付き合いをして、恋人同士になって、お互いの知らない一面をどんどん知っていって。


仲良くなれてるんだって、勘違いするよあんなの。

来栖くんは私と違って、すごく器用なんだね。



「つぐ…?って、桃弥くんまで居るのか。ふたりして何してるんだ…?」



駅が見えて賑やかになってきたところで、鉢合わせた仕事帰りのお兄ちゃん。

ここまで会話は、なかった。



「えっと…なんか、迷ったっぽくて」


「迷った?それで桃弥くんが?」


「はい。ちょうど…俺も帰ったとこで」


「……つぐ。おまえ、嘘ついたな」



そんな低い声に、驚いているのはもちろん私じゃない。


兄は来栖くんの背後に思わず隠れてしまった私だけを鋭く見つめていた。


そして来栖くんは、どういうわけか。

私をもっと隠すように、そっと背中に誘導させる動きをする。



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