家族になった来栖くんと。




「あれじゃん!脱衣場でバッタリとか、足を踏み外して覆い被さってくるとか!!うれしいハプニングが起きるやつ…!!」



きゃーー!っと、ひとりで盛り上がっている模様。

さすがにそれはないよ…と言おうとした私だが、今朝にも心当たりがあったと気づく。



「あれっ?つぐみ?なんか落ち込んでる…?」


「すっごい鬱陶しそうな顔してた…」


「えっ?もしかしてもうハプった!?」


「迷惑そうな顔、してたなあ……」


「……どゆこと??」



「おはよう」の代わりに「うるせーよ」が返ってきた朝。


どうかご無事で。
来栖くんの鼓膜さん。


ひとつだけ気がかりなのは、あんなにも迷惑そうで鬱陶しそうな顔をしておいて。

強引に押し返すことも、無理やりにも離すことも、彼はしなかった。



「…………」


「…………」



カチ、カチ、カチ。
時計の針は刻一刻と進んでゆく。

短い針は8、長い針は6を過ぎた頃。



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