氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
リーゼロッテは未だ力の制御がうまくできないでいる。少しずつコントロールができるようにはなってきているが、突発的な事態に対応できるほど安定はしていない。
「エラは、お母様のご容態もあるだろうから、ここに残ってもいいのよ……?」
「いいえ! どうか、次はわたしも一緒にお供させてください! 母は少し過労がたたっただけで、今はもう心配はありません。ご迷惑をおかけした分、今まで以上にお嬢様にお仕えさせてください!」
「迷惑だなんて思っていないわ。エラの大事なご家族のことですもの。……思えばエラはずっと家に帰っていなかったものね。エラがいてくれることが当たり前になってしまって、わたくしエラに甘えすぎていたわ」
「どうか、そのようにおっしゃらないでください……わたしはお嬢様にお仕えすることに誇りを持っております。お嬢様がわたしなどいらないとおっしゃられるその日まで、ずっとおそばにおいてほしいのです」
エラは必死だった。最近リーゼロッテとの距離が、物理的にも精神的にも以前よりも遠くなったように感じられてならない。
ずっと深窓の令嬢生活を続けてきたリーゼロッテだ。それは病気のせいで強いられてきたことなのだから、公爵家でエマニュエルたちと楽しそうに会話するリーゼロッテを見て、エラは心からよろこばしいと思っていた。だがその半面、一抹の寂しさを感じていたのも事実だった。
「エラがいらなくなる日なんて絶対に来ないわ。ありがとう……エラの気持ち、とてもうれしい。でもね、ひとつだけ、エラに約束してほしいことがあるの」
エラの目をまっすぐ見るリーゼロッテは、以前よりも大人びたと思う。新しい環境がそうさせたのか、知らないうちにどんどんお嬢様が離れていってしまうようで、エラは不安で仕方がなかった。
「エラには自分のしあわせを最優先にしてほしいの。わたくしはエラとずっと一緒にいたいと思っているわ。でも、それはエラがしあわせでないと意味がないの。だからもし、エラが別の人生を選びたいと思う時が来たら、きちんとわたくしに話すと約束してちょうだい」
「お嬢様! わたしはお嬢様のもとを離れるなど、考えたこともございません!」
「ええ、わかっているわ。でもねエラ。先のことはどうなるかなんて、誰にもわからないでしょう? 生涯を共にしたいと思う人に、エラが出会うことだってあるだろうし……エラにはわたくしのせいで、しあわせを諦めたりしてほしくないの……」
リーゼロッテの瞳が悲し気に揺らめいている。それを見たエラは、はっとして顔を上げた。
「エラは、お母様のご容態もあるだろうから、ここに残ってもいいのよ……?」
「いいえ! どうか、次はわたしも一緒にお供させてください! 母は少し過労がたたっただけで、今はもう心配はありません。ご迷惑をおかけした分、今まで以上にお嬢様にお仕えさせてください!」
「迷惑だなんて思っていないわ。エラの大事なご家族のことですもの。……思えばエラはずっと家に帰っていなかったものね。エラがいてくれることが当たり前になってしまって、わたくしエラに甘えすぎていたわ」
「どうか、そのようにおっしゃらないでください……わたしはお嬢様にお仕えすることに誇りを持っております。お嬢様がわたしなどいらないとおっしゃられるその日まで、ずっとおそばにおいてほしいのです」
エラは必死だった。最近リーゼロッテとの距離が、物理的にも精神的にも以前よりも遠くなったように感じられてならない。
ずっと深窓の令嬢生活を続けてきたリーゼロッテだ。それは病気のせいで強いられてきたことなのだから、公爵家でエマニュエルたちと楽しそうに会話するリーゼロッテを見て、エラは心からよろこばしいと思っていた。だがその半面、一抹の寂しさを感じていたのも事実だった。
「エラがいらなくなる日なんて絶対に来ないわ。ありがとう……エラの気持ち、とてもうれしい。でもね、ひとつだけ、エラに約束してほしいことがあるの」
エラの目をまっすぐ見るリーゼロッテは、以前よりも大人びたと思う。新しい環境がそうさせたのか、知らないうちにどんどんお嬢様が離れていってしまうようで、エラは不安で仕方がなかった。
「エラには自分のしあわせを最優先にしてほしいの。わたくしはエラとずっと一緒にいたいと思っているわ。でも、それはエラがしあわせでないと意味がないの。だからもし、エラが別の人生を選びたいと思う時が来たら、きちんとわたくしに話すと約束してちょうだい」
「お嬢様! わたしはお嬢様のもとを離れるなど、考えたこともございません!」
「ええ、わかっているわ。でもねエラ。先のことはどうなるかなんて、誰にもわからないでしょう? 生涯を共にしたいと思う人に、エラが出会うことだってあるだろうし……エラにはわたくしのせいで、しあわせを諦めたりしてほしくないの……」
リーゼロッテの瞳が悲し気に揺らめいている。それを見たエラは、はっとして顔を上げた。