氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
エラはリーゼロッテの社交界デビューのために、化粧の仕方から髪の結い方まで、侍女としてのさまざまな技能を身に着けてきた。すべてリーゼロッテの輝かしい未来のためにだ。
その初めの一歩といえる大事な白の夜会の準備を、自分以外誰かの手にゆだねるなど、エラには到底許容できなかった。自分は裏方に徹しよう。そう心に決めたエラだった。
「わかっているわ。エラはリーゼロッテのデビューのために、今までたくさん努力をしてきたものね。心配しなくていいわ。エラの夜会の準備もダーミッシュ家のタウンハウスで一緒にしましょう? そうすればエラはリーゼロッテの支度もできるでしょ?」
「ですが奥様、そこまで甘えるわけには……」
エラは自身の社交界デビューも伯爵家にサポートしてもらった。当時、実家が窮地に立たされ経済的に困窮していたエラは、自分のデビューなど考えてもしていなかった。だが、いつか社交界に出るリーゼロッテのために経験を積んでほしいと、伯爵夫妻に説得されたのだ。
それは建前だとはわかっていた。エラがデビューできないことを一番に気に病んでいたのは、ほかでもないリーゼロッテだったのだから。
結局は、ドレスから礼儀作法まで何から何まで面倒を見てもらい、エラは無事に社交界デビューを果たすことができた。
「わがままを言ってごめんなさい……でも、わたくし、エラが一緒に夜会に出てくれたら心強くて……」
リーゼロッテが不安げにエラを見つめている。エラは心が震えて泣きそうになる。
ああ、お嬢様が自分を必要としてくれている……そう思うだけで胸がいっぱいだ。それでも詰まる言葉をなんとか口にした。
「はい、お嬢様のためなら、このエラ、いつ何時でもお嬢様の元へ参ります」
「……ありがとう、エラ」
リーゼロッテはエラの手を取って、うれしそうに微笑んだ。
その初めの一歩といえる大事な白の夜会の準備を、自分以外誰かの手にゆだねるなど、エラには到底許容できなかった。自分は裏方に徹しよう。そう心に決めたエラだった。
「わかっているわ。エラはリーゼロッテのデビューのために、今までたくさん努力をしてきたものね。心配しなくていいわ。エラの夜会の準備もダーミッシュ家のタウンハウスで一緒にしましょう? そうすればエラはリーゼロッテの支度もできるでしょ?」
「ですが奥様、そこまで甘えるわけには……」
エラは自身の社交界デビューも伯爵家にサポートしてもらった。当時、実家が窮地に立たされ経済的に困窮していたエラは、自分のデビューなど考えてもしていなかった。だが、いつか社交界に出るリーゼロッテのために経験を積んでほしいと、伯爵夫妻に説得されたのだ。
それは建前だとはわかっていた。エラがデビューできないことを一番に気に病んでいたのは、ほかでもないリーゼロッテだったのだから。
結局は、ドレスから礼儀作法まで何から何まで面倒を見てもらい、エラは無事に社交界デビューを果たすことができた。
「わがままを言ってごめんなさい……でも、わたくし、エラが一緒に夜会に出てくれたら心強くて……」
リーゼロッテが不安げにエラを見つめている。エラは心が震えて泣きそうになる。
ああ、お嬢様が自分を必要としてくれている……そう思うだけで胸がいっぱいだ。それでも詰まる言葉をなんとか口にした。
「はい、お嬢様のためなら、このエラ、いつ何時でもお嬢様の元へ参ります」
「……ありがとう、エラ」
リーゼロッテはエラの手を取って、うれしそうに微笑んだ。