氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
部屋の入口から付き人の女性が取り乱したように駆け込んでくる。ジークヴァルトたちには目をくれず、彼女はそのまま聖女の元へと駆け寄った。
「クリスティーナ様!」
「大丈夫よ、ヘッダ……」
男の腕から体を起こし、クリスティーナは安心させるように目を細めた。気丈に立ち上がると姿勢を正し、リーゼロッテへと向き直った。
「怖い思いをさせてごめんなさい。見ての通り、今日はもう占うことはできそうにないわ。悪いけれど、このままおひきとりいただいてもいいかしら?」
「あの、今のはわたくしのせいで……?」
「……いいえ、あなたのせいではないわ、貴族のお嬢様」
ゆるく首を振ると、クリスティーナは背後に立つアルベルトに視線で促す。アルベルトは何も言わずにヘッダにクリスティーナを預けて、部屋の入口へと足を向けた。
「そこまでお送りいたします」
物腰は柔らかいものの、有無を言わせぬように扉の向こうへと手を指し示す。
「いくぞ」
ジークヴァルトはリーゼロッテの手を引き、それに従った。途中、リーゼロッテは立ち止まり貴族街の聖女を振り返った。静かに淑女の礼を取ると、ジークヴァルトに促されるまま部屋を出ていく。その後ろ姿を、クリスティーナは静かな瞳で見送った。
「こんな……こんな酷いことが起こるなんて……」
隣で声を震わせるようにヘッダが言った。同じようにリーゼロッテの背を見送っていたヘッダのその表情は、抑えきれないほどの憎しみに満ちている。
「あなたにそんな顔をさせるなんて、確かにとんでもなく酷いことね」
「クリスティーナ様!」
「大丈夫よ、ヘッダ……」
男の腕から体を起こし、クリスティーナは安心させるように目を細めた。気丈に立ち上がると姿勢を正し、リーゼロッテへと向き直った。
「怖い思いをさせてごめんなさい。見ての通り、今日はもう占うことはできそうにないわ。悪いけれど、このままおひきとりいただいてもいいかしら?」
「あの、今のはわたくしのせいで……?」
「……いいえ、あなたのせいではないわ、貴族のお嬢様」
ゆるく首を振ると、クリスティーナは背後に立つアルベルトに視線で促す。アルベルトは何も言わずにヘッダにクリスティーナを預けて、部屋の入口へと足を向けた。
「そこまでお送りいたします」
物腰は柔らかいものの、有無を言わせぬように扉の向こうへと手を指し示す。
「いくぞ」
ジークヴァルトはリーゼロッテの手を引き、それに従った。途中、リーゼロッテは立ち止まり貴族街の聖女を振り返った。静かに淑女の礼を取ると、ジークヴァルトに促されるまま部屋を出ていく。その後ろ姿を、クリスティーナは静かな瞳で見送った。
「こんな……こんな酷いことが起こるなんて……」
隣で声を震わせるようにヘッダが言った。同じようにリーゼロッテの背を見送っていたヘッダのその表情は、抑えきれないほどの憎しみに満ちている。
「あなたにそんな顔をさせるなんて、確かにとんでもなく酷いことね」