氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「ハインリヒ王太子殿下は、今年は妖精姫と踊るのかしら?」
「そうね。それに毎年殿下と踊る謎の令嬢が、今年も現れるか楽しみだわ」
「あの王妃殿下によく似たご令嬢ね!」
ハインリヒ王子が舞踏会に参加することは滅多にない。それこそ王族主催のこの白の夜会と年始を祝う夜会に顔を出すくらいだ。
王族と言えど力を持った貴族をないがしろにすることはできないはずだが、王子は招待される舞踏会をことごとく断り続けている。
そんな王子がダンスを踊るのは、年間を通してこの白の夜会だけだった。それも毎年、正体不明の令嬢とだけ踊るものだから、その令嬢こそが王太子妃候補なのだと言う声も上がっている。
しかし、その謎の令嬢は誰に聞いても正体がつかめない。唯一わかっているのは、その令嬢がイジドーラ王妃にとても雰囲気が似ているということだけである。
王妃の親類縁者かと問うても、イジドーラは妖しく微笑むだけで何も語ろうとはしない。その令嬢に詰め寄ろうにも、王子と踊った後に令嬢も王子と一緒にさっさと退場して、それきりどの夜会にも姿を現さないのだ。
「うふふ、今年の白の夜会は波乱含みね」
「本当に。ランド公爵様は愛娘のデビューを見合わせて正解でしたわ」
淑女たちの扇で隠した口元に忍び笑いがもれる。ダーミッシュ伯爵令嬢の挨拶も終わったようだ。あとは侯爵家二家を残すのみ。
どんな修羅場が見られるだろうか。はやくその場面がみられればいいのにと、多くの紳士淑女たちは、はやる気持ちでデビュタントの登場口に目を向けた。
「そうね。それに毎年殿下と踊る謎の令嬢が、今年も現れるか楽しみだわ」
「あの王妃殿下によく似たご令嬢ね!」
ハインリヒ王子が舞踏会に参加することは滅多にない。それこそ王族主催のこの白の夜会と年始を祝う夜会に顔を出すくらいだ。
王族と言えど力を持った貴族をないがしろにすることはできないはずだが、王子は招待される舞踏会をことごとく断り続けている。
そんな王子がダンスを踊るのは、年間を通してこの白の夜会だけだった。それも毎年、正体不明の令嬢とだけ踊るものだから、その令嬢こそが王太子妃候補なのだと言う声も上がっている。
しかし、その謎の令嬢は誰に聞いても正体がつかめない。唯一わかっているのは、その令嬢がイジドーラ王妃にとても雰囲気が似ているということだけである。
王妃の親類縁者かと問うても、イジドーラは妖しく微笑むだけで何も語ろうとはしない。その令嬢に詰め寄ろうにも、王子と踊った後に令嬢も王子と一緒にさっさと退場して、それきりどの夜会にも姿を現さないのだ。
「うふふ、今年の白の夜会は波乱含みね」
「本当に。ランド公爵様は愛娘のデビューを見合わせて正解でしたわ」
淑女たちの扇で隠した口元に忍び笑いがもれる。ダーミッシュ伯爵令嬢の挨拶も終わったようだ。あとは侯爵家二家を残すのみ。
どんな修羅場が見られるだろうか。はやくその場面がみられればいいのにと、多くの紳士淑女たちは、はやる気持ちでデビュタントの登場口に目を向けた。