氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
フーゴに続く前にリーゼロッテはもう一度ジークヴァルトの方を振り返った。ジークヴァルトは先ほどと変わらずこちらをじっと見ていた。
そんなジークヴァルトに向けてリーゼロッテはふわりと淑女の礼を取る。その様子を見ていた貴族たちは、やはり二人の婚約説は濃厚なのだと色めき立った。
その様子に気づくことなく、リーゼロッテはフーゴに連れられてキュプカー侯爵父娘がいる方へ歩き出した。
「これは、ダーミッシュ伯爵。お互いに良き日を迎えられよろこばしい限りです」
「ええ、本当に。キュプカー侯爵様には王城で娘と息子が大変お世話になりました。本来ならわたしが出向いてお礼を申し上げねばならないところ、ご挨拶が遅れ申し訳ありません」
「はは、わたしは大したことはしていませんよ。ご令息は優秀すぎてわたしも驚きました。彼が伯爵家の跡取りでなかったら、騎士団か我が娘の婿にきてもらいたいくらいです。それにダーミッシュ嬢には娘もお世話になったとか。ヤスミン、お前もご挨拶しなさい」
隣にいたヤスミンがフーゴに礼を取る。
「ダーミッシュ伯爵様、お初にお目にかかります。キュプカー侯爵の娘、ヤスミンでございます。リーゼロッテ様には王妃殿下のお茶会でよくしていただきましたの。これからも仲良くしていただけるとうれしいですわ」
リーゼロッテに微笑むとヤスミンは可愛らしく小首をかしげた。
「ヤスミン様にそう言っていただけてわたくしも光栄ですわ。こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。キュプカー侯爵様には王城で本当によくしていただきました。たくさんのお心遣いに感謝いたします」
「いや、王城ではわたしも随分とおもしろいものを見させていただいた」
その言葉にリーゼロッテの頬が朱に染まる。王城で毎日のように抱っこ輸送をされていたことだろうか。
「ああ、ダーミッシュ嬢のことではありませんよ。あのフーゲンベルク副隊長を骨抜きにするなど、前代未聞の事でしたから」
はははと笑いながらキュプカー侯爵は榛色の瞳をキラリと光らせた。
「まあ、お父様。そのお話、あとで詳しく聞かせてくださいませ」
「いや、王城での、それも職務中の出来事はお前と言えど話せんな」
「まあ! いじわるですこと。いいですわ、わたくしリーゼロッテ様に直接お伺いいたしますから」
今度はヤスミンの瞳がキラリと光る。ヤスミンはおとなしそうな顔をして、その実妄想好きの令嬢なのだ。
しかし、ヤスミンが期待するような話など何もない。興味津々のヤスミンにリーゼロッテは曖昧な笑みを返した。
そんなジークヴァルトに向けてリーゼロッテはふわりと淑女の礼を取る。その様子を見ていた貴族たちは、やはり二人の婚約説は濃厚なのだと色めき立った。
その様子に気づくことなく、リーゼロッテはフーゴに連れられてキュプカー侯爵父娘がいる方へ歩き出した。
「これは、ダーミッシュ伯爵。お互いに良き日を迎えられよろこばしい限りです」
「ええ、本当に。キュプカー侯爵様には王城で娘と息子が大変お世話になりました。本来ならわたしが出向いてお礼を申し上げねばならないところ、ご挨拶が遅れ申し訳ありません」
「はは、わたしは大したことはしていませんよ。ご令息は優秀すぎてわたしも驚きました。彼が伯爵家の跡取りでなかったら、騎士団か我が娘の婿にきてもらいたいくらいです。それにダーミッシュ嬢には娘もお世話になったとか。ヤスミン、お前もご挨拶しなさい」
隣にいたヤスミンがフーゴに礼を取る。
「ダーミッシュ伯爵様、お初にお目にかかります。キュプカー侯爵の娘、ヤスミンでございます。リーゼロッテ様には王妃殿下のお茶会でよくしていただきましたの。これからも仲良くしていただけるとうれしいですわ」
リーゼロッテに微笑むとヤスミンは可愛らしく小首をかしげた。
「ヤスミン様にそう言っていただけてわたくしも光栄ですわ。こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。キュプカー侯爵様には王城で本当によくしていただきました。たくさんのお心遣いに感謝いたします」
「いや、王城ではわたしも随分とおもしろいものを見させていただいた」
その言葉にリーゼロッテの頬が朱に染まる。王城で毎日のように抱っこ輸送をされていたことだろうか。
「ああ、ダーミッシュ嬢のことではありませんよ。あのフーゲンベルク副隊長を骨抜きにするなど、前代未聞の事でしたから」
はははと笑いながらキュプカー侯爵は榛色の瞳をキラリと光らせた。
「まあ、お父様。そのお話、あとで詳しく聞かせてくださいませ」
「いや、王城での、それも職務中の出来事はお前と言えど話せんな」
「まあ! いじわるですこと。いいですわ、わたくしリーゼロッテ様に直接お伺いいたしますから」
今度はヤスミンの瞳がキラリと光る。ヤスミンはおとなしそうな顔をして、その実妄想好きの令嬢なのだ。
しかし、ヤスミンが期待するような話など何もない。興味津々のヤスミンにリーゼロッテは曖昧な笑みを返した。