氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
そっけなく言ってジークヴァルトは周囲に目を向けた。リーゼロッテをリードしつつ、行く先の異形を祓っていく。戸惑うリーゼロッテはダンスを止めるわけにもいかず、言われるままステップを踏み続けた。
そうこうしているうちに曲が終わり、リーゼロッテはジークヴァルトと向かい合わせになって礼をした。フロアがダンスの入れ替わりでざわつき始める。周囲を見回すと、まだ異形の者がふたりの周りを囲うようにしていた。
「あの、ジークヴァルト様。早くここを離れた方がよいのでは……」
幾人かの紳士がリーゼロッテに近づいてくる。もしかしたら自分にダンスを申し込みに来るのかもしれない。それだけならジークヴァルトを理由に断ることもできるのだが、便乗して異形の者が一緒に近づいて来くるのが目に入った。
「ヴァルト様……!」
思わずジークヴァルトに身を寄せる。ダンスタイムでもないのに男性に抱き着くなど、はしたない行為だと言われても仕方ないが、リーゼロッテはそうするより何もできなかった。
すぐそばまで来た紳士が声をかけたそうにしているが、リーゼロッテは不自然なくらいジークヴァルトの顔を凝視してそれに気づかないふりをした。気のせいであってほしいが、その紳士の肩には黒髪の女がだれんと背後から覆いかぶさっている。
(さ、貞子、貞子がいるぅぅぅぅっ)
長い黒髪をひと房口にくわえた異形の女は、ちらっと横目で伺ったリーゼロッテと目が合うと、にたぁと笑みをつくった。その手は愛おしそうに紳士の頬を撫でさすっている。
脳内でひぃぃっと悲鳴を上げつつ、リーゼロッテはジークヴァルトに縋りついた。
「問題ない」
涙目のリーゼロッテをみやったジークヴァルトは、無表情のままリーゼロッテの少し乱れた前髪を指に絡めながら梳いていく。人前でも躊躇しないその指の動きに、リーゼロッテの頬が染まった。
そんな様子に貞子を背負った紳士は諦めたように去っていった。今のやり取りが、ふたりの世界を作り上げたようだ。周囲の視線が痛いような気もするが、結果オーライと言うことにしておこう。
そうこうしているうちに曲が終わり、リーゼロッテはジークヴァルトと向かい合わせになって礼をした。フロアがダンスの入れ替わりでざわつき始める。周囲を見回すと、まだ異形の者がふたりの周りを囲うようにしていた。
「あの、ジークヴァルト様。早くここを離れた方がよいのでは……」
幾人かの紳士がリーゼロッテに近づいてくる。もしかしたら自分にダンスを申し込みに来るのかもしれない。それだけならジークヴァルトを理由に断ることもできるのだが、便乗して異形の者が一緒に近づいて来くるのが目に入った。
「ヴァルト様……!」
思わずジークヴァルトに身を寄せる。ダンスタイムでもないのに男性に抱き着くなど、はしたない行為だと言われても仕方ないが、リーゼロッテはそうするより何もできなかった。
すぐそばまで来た紳士が声をかけたそうにしているが、リーゼロッテは不自然なくらいジークヴァルトの顔を凝視してそれに気づかないふりをした。気のせいであってほしいが、その紳士の肩には黒髪の女がだれんと背後から覆いかぶさっている。
(さ、貞子、貞子がいるぅぅぅぅっ)
長い黒髪をひと房口にくわえた異形の女は、ちらっと横目で伺ったリーゼロッテと目が合うと、にたぁと笑みをつくった。その手は愛おしそうに紳士の頬を撫でさすっている。
脳内でひぃぃっと悲鳴を上げつつ、リーゼロッテはジークヴァルトに縋りついた。
「問題ない」
涙目のリーゼロッテをみやったジークヴァルトは、無表情のままリーゼロッテの少し乱れた前髪を指に絡めながら梳いていく。人前でも躊躇しないその指の動きに、リーゼロッテの頬が染まった。
そんな様子に貞子を背負った紳士は諦めたように去っていった。今のやり取りが、ふたりの世界を作り上げたようだ。周囲の視線が痛いような気もするが、結果オーライと言うことにしておこう。