氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
十歳前後に見える少女は、自分が思うよりも年が上なのかもしれない。もしくは過酷な人生を送ってきたか。
しかし、少女の纏う空気は、人間不信に陥っているかというとそうでもない。信頼できる大人の存在をにおわせる。先ほど手にしていた紙も、目的地の住所と何かのメモ書きが見てとれた。少女が文字が読めるのならば、それを教えられるだけの人間のそばにいたという証だ。
少女の身なりは、この寒い時期にしては明らかに薄着だった。うす汚れているし、洗濯などずっとしていないのだろう。そして、つなぐかじかんだ小さな手は、あちこちあかぎれをおこしており、日常働いているだろう手だ。
しかし、対照的に少女の髪は艶やかでさらりとしている。どこにでもいるような茶色の髪は肩口で綺麗に揃えられ、前髪は鬱陶しいほど長くのばされている。
(かつら……なのかな?)
だがカイはそのことを深く追求する気はなかった。こんな年の少女がかつらをかぶる理由など、どうせろくなものではない。隠したい傷があるとか、そういった類のことだろう。
カイは自警団に見つからないように、通りの十字路をふたつみっつと曲がった。少女が怖がらないようにと、あえて人通りの多い通りを選ぶ。
ある程度歩いたあと、カイは足を止めて少女を振り返った。急に止まったカイの胸に「ぶっ」っと少女がつっこんでくる。
「ああ、ごめん、ごめん。ここら辺ならもういいかと思って」
それをなんなく抱きとめて、カイは悪びれない笑顔を向ける。そんなカイに、長い前髪の隙間から少女は胡散臭そうな者を見る視線を返してきた。
(人を見る目もありそうだ)
カイはおもしろそうに少女を見下ろすと、次いで視線を合わせるように両膝に手をついて屈みこんだ。
しかし、少女の纏う空気は、人間不信に陥っているかというとそうでもない。信頼できる大人の存在をにおわせる。先ほど手にしていた紙も、目的地の住所と何かのメモ書きが見てとれた。少女が文字が読めるのならば、それを教えられるだけの人間のそばにいたという証だ。
少女の身なりは、この寒い時期にしては明らかに薄着だった。うす汚れているし、洗濯などずっとしていないのだろう。そして、つなぐかじかんだ小さな手は、あちこちあかぎれをおこしており、日常働いているだろう手だ。
しかし、対照的に少女の髪は艶やかでさらりとしている。どこにでもいるような茶色の髪は肩口で綺麗に揃えられ、前髪は鬱陶しいほど長くのばされている。
(かつら……なのかな?)
だがカイはそのことを深く追求する気はなかった。こんな年の少女がかつらをかぶる理由など、どうせろくなものではない。隠したい傷があるとか、そういった類のことだろう。
カイは自警団に見つからないように、通りの十字路をふたつみっつと曲がった。少女が怖がらないようにと、あえて人通りの多い通りを選ぶ。
ある程度歩いたあと、カイは足を止めて少女を振り返った。急に止まったカイの胸に「ぶっ」っと少女がつっこんでくる。
「ああ、ごめん、ごめん。ここら辺ならもういいかと思って」
それをなんなく抱きとめて、カイは悪びれない笑顔を向ける。そんなカイに、長い前髪の隙間から少女は胡散臭そうな者を見る視線を返してきた。
(人を見る目もありそうだ)
カイはおもしろそうに少女を見下ろすと、次いで視線を合わせるように両膝に手をついて屈みこんだ。