氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
向かい合わせに座ると、カイはルチアにこそりと話しかけた。
「ねえ、ここでのおすすめは何か、お店の人に聞いてみてよ。できれば体があったまるやつ」
ルチアは神妙に頷くと、店員に声をかけた。男はカイを不審げに見やりながらも、ルチアの問いに答えていく。こういった下町の店にはメニューはおいていない。訪れる客は文字が読めない者がほとんどだからだ。
「ここはシチューがおいしいそうよ。カイはどっちにする?」
どっちにするとは、ビーフシチューかクリームシチューかということのようだ。カイは少し迷ったそぶりを見せてから「じゃあ、サンドイッチにしようかな?」としれっと言った。自分が店員に聞いた事は何だったのだと、ルチアの顔が再び不信感に染まっていく。
「で、ルチアはどっちするの? とろっとろのビーフシチュー? 野菜たっぷりのクリームシチュー?」
ルチアはごくりとのどを鳴らした後、クリームシチューと小さい声でつぶやいた。
「サンドイッチとクリームシチューね」
そう言って店の男は厨房の方へ戻っていった。作り置きを温めてきたのだろう。ほどなくしてルチアの目の前に真っ白いシチューが運ばれてきた。大きく切られた人参・ジャガイモ・玉ねぎがその白の中から覗いている。鶏肉もゴロゴロ入っているようだ。
「どうぞ、召し上がれ?」
カイが手のひらを見せてそう言うと、ルチアはぎゅっと唇をかんで首を振った。
「あなたより先に食べるなんてできないわ」
「でも、君は完璧に仕事をこなしたよ。その報酬なんだから遠慮しないで?」
カイがそう言うと、ルチアは再びごくりとのどをならして、皿を見つめた。
「ほら、あったかいうちに」
カイが促すと、ルチアは小さく頷いてから、テーブルの上に両肘をついた。その手を組んで食事の前の祈りをささげる。しばらく目を閉じて祈っていたルチアは、次いでそのあかぎれのある小さな手を伸ばしてスプーンを手に取った。ゆっくりとシチューをすくい、その口元に持っていく。
「ねえ、ここでのおすすめは何か、お店の人に聞いてみてよ。できれば体があったまるやつ」
ルチアは神妙に頷くと、店員に声をかけた。男はカイを不審げに見やりながらも、ルチアの問いに答えていく。こういった下町の店にはメニューはおいていない。訪れる客は文字が読めない者がほとんどだからだ。
「ここはシチューがおいしいそうよ。カイはどっちにする?」
どっちにするとは、ビーフシチューかクリームシチューかということのようだ。カイは少し迷ったそぶりを見せてから「じゃあ、サンドイッチにしようかな?」としれっと言った。自分が店員に聞いた事は何だったのだと、ルチアの顔が再び不信感に染まっていく。
「で、ルチアはどっちするの? とろっとろのビーフシチュー? 野菜たっぷりのクリームシチュー?」
ルチアはごくりとのどを鳴らした後、クリームシチューと小さい声でつぶやいた。
「サンドイッチとクリームシチューね」
そう言って店の男は厨房の方へ戻っていった。作り置きを温めてきたのだろう。ほどなくしてルチアの目の前に真っ白いシチューが運ばれてきた。大きく切られた人参・ジャガイモ・玉ねぎがその白の中から覗いている。鶏肉もゴロゴロ入っているようだ。
「どうぞ、召し上がれ?」
カイが手のひらを見せてそう言うと、ルチアはぎゅっと唇をかんで首を振った。
「あなたより先に食べるなんてできないわ」
「でも、君は完璧に仕事をこなしたよ。その報酬なんだから遠慮しないで?」
カイがそう言うと、ルチアは再びごくりとのどをならして、皿を見つめた。
「ほら、あったかいうちに」
カイが促すと、ルチアは小さく頷いてから、テーブルの上に両肘をついた。その手を組んで食事の前の祈りをささげる。しばらく目を閉じて祈っていたルチアは、次いでそのあかぎれのある小さな手を伸ばしてスプーンを手に取った。ゆっくりとシチューをすくい、その口元に持っていく。